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国民年金納付実態は40% ~ 公表資料を確認せずに記事を書く日本を代表する経済紙の実態

(2014年7月12日)
「低所得などで保険料納付を免除されている人を含めて計算した国民年金の実質的な納付率が2013年度は約40%だったことが分かった。厚生労働省が6月に発表した納付率は60.9%だったが、実態をみると約4割の保険料しか納められていない。国民年金の未納問題はなお深刻だ」(12日付日本経済新聞 「国民年金納付 実態は40%」)

12日の日本経済新聞のこの記事には驚かされました。日本を代表する経済紙は、「厚生労働省が6月に発表した納付率は60.9%だったが、実態をみると約4割の保険料しか納められていない」と、6月23日に厚生労働省が発表した「平成25 年度分の現年度納付率は60.9%(対前年度比+1.9 ポイント)」という情報が、誤解を招くものであったかのように報じています。

「低所得で免除申請をした人や学生・若年者のための納付猶予を受けた人を含めて再計算すると、実質的な納付率は40%程度まで下がる」(同 日本経済新聞)

この記事の書き方は、「実質的な納付率は40%程度」であることが、日本を代表する経済紙が「再計算」したことで明らかになったような印象を与えるようなものになっています。

しかし、「実質的な納付率は40%程度」であることは、6月23日に厚生労働省が「平成25年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について」という報道発表した際に同時に公開された資料をみれば一目瞭然だったものです。

現に筆者は厚生労働省の発表を日本経済新聞が6月23日の夕刊一面で「国民年金納付率60%台」と報じたことを受け、翌日の24日に〝 「消費」が増えて貯蓄率「64年ぶりマイナス」?~「素人の常識」からかけ離れた「専門家ならではの見立て」″というBlog記事を書き、その中で以下のような指摘をしています。

「現役世代で「年金保険料の免除」を受けている人の比率が40%に近付く中、年金保険料を支払える収入がある人達の40%近くが国民保険料を納めていないわけですから、単純計算すると現役世代の36%(≒免除を受けていない現役世代60%×納付率60%)しか、まともに国民年金保険料を納付していないということになります」

筆者がこうした指摘をしたのは、厚生労働省がプレスリリースと同時に公開した資料を、自分の目で確かめたからです。

一方、日本を代表する経済紙が今になって「実質的な納付率は40%程度」だと報じるということは、6月23日時点では公表された資料には目を通さず、「平成25 年度分の現年度納付率は60.9%(対前年度比+1.9 ポイント)」という事実を記したプレスリリーだけを見て記事を書いたということです。

「厚生労働省は23日、2013年度の国民年金保険料の納付率が60.9%と前年度より1.9ポイント改善したと発表した。上昇は2年連続で4年ぶりに60%台を回復した。雇用や所得が持ち直しているほか、未納者への督促も強化したため」(23日付日本経済新聞夕刊 「国民年金納付率60%台」)

プレスリリースだけを見て、同時に公表された資料に目を通さなかった日本を代表する経済紙は、23日付夕刊でこのように報じていました。

プレスリリースだけを読んで、同時に公表された資料に目を通さないで報道をすることも驚きですが、それから半月以上たったこのタイミングで、「再計算すると、実質的な納付率は40%程度まで下がる」と、鬼の首を取ったように報じるその神経には驚きを禁じ得ません。本来こうした指摘は6月23日の報道発表と同時に公表された資料を確認してその時にするべきものです。何しろ、目を通せば一目瞭然だったわけですから。

不思議なことは、厚生労働省の報道発表から2週間半が過ぎた今になって、何故、プレスリリースの紙だけを読んで中身を確認せずに記事を書いたという、日本を代表する経済紙としては恥ずべき行為を白日の下に晒すことになるような記事を掲載したのかということです。一目瞭然で分かることを、わざわざ2回に分けて報じることで、自分達の検証能力の高さを演出しようとしたのでしょうか。

もし、どうせ誰も厚生労働省の公表する資料など確認していないと高を括ったのだとしたら、読者を舐めきっていることになります。読者が出来る防衛策は、日本を代表する経済紙の記事は何の確認もせずに書かれていることがあり、「半値、八掛け、二割引き」で聞く必要があり、決して報じられていることを盲目的に信じたり、覚えたりしないということを肝に銘じることかもしれません。


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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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