「景気は夏場以降回復」シナリオにとどめを刺す7~9月売上高「下振れ」~ ならば「景気は年末に向けて回復」

(2014年8月17日)
「日本経済新聞社が消費の現状と先行きを主要企業に聞いたところ、23%が7~9月の売上高が期初の計画から 『下振れする』と答えた。7月の売上高は半数を超える企業が前年実績を下回り、7~9月が『上振れする』と答えた企業は11%にとどまった。力強さを欠く個人消費の現状が明らかになった」(17日付日本経済新聞 「売上高『下振れ』23%」)

さしたる根拠もなく「景気は夏以降に上向く可能性が高い」と繰り返して来た日本経済新聞が、1面で主要企業の7~9月期の売上が期初の計画から「下振れ」することを報じています。

「日本経済新聞社とテレビ東京による18~20日の世論調査で、4月から消費税率が8%に上がった後、家計支出に影響が出たかを聞くと『変わらない』が66%を占め『支出を減らした』の31%を大幅に上回った」(4月21日付日本経済新聞 「支出『変わらず』66%」)

「家計の7割が消費増税の影響を軽微と感じていることが、日本経済新聞社の読者モニターへの調査でわかった。増税について『生活への影響はない』『実感はない』とした人が合計43%。『節約で吸収できる』との回答を合わせ68%に達した」(6月10日付日本経済新聞 「生活に『軽微』7割」)

「主要上場企業の6割が4月の消費増税による業績への影響はない、とみていることが分かった。日本経済新聞社が最高財務責任者(CFO)250人に、収益環境などの見方を聞いた」(6月12日付日本経済新聞 「消費増税『影響ない』6割」)

これまで散々消費増税の影響は軽微だと繰り返した日本経済新聞も、4~6月期実質GDPで「家計最終消費」が前期比▲5.2%(マスコミでは全く取り上げられませんが、「持ち家の帰属家賃を除いた家計最終消費」は同▲6.2%)と予想以上の落ち込みを見せたうえに、「7月の売上高は半数を超える企業が前年実績を下回った」ことで、「景気は夏以降上向く」というシナリオの修正を目論んでいるのかもしれません。

23日のセミナーでもふれる予定ですが、「実質雇用者報酬が5四半期連続で前期比マイナス」、「実質賃金は12カ月連続で前年同月比マイナス」というなかで、個人消費が日本経済を牽引するという主張は、ガソリンがなくても車は走り続けられるというようなもので、常識的に無理のあるシナリオです。

実質賃金の実質消費

日銀や日本経済新聞は「個人消費は堅調」、「生産、所得、消費の前向きな経済循環メカニズムがしっかりの機能している」という主張をオオムのように繰り返していますが、どのような思考回路でこうした結論を導き出したのか、その未知なる新しい経済理論を是非国民に明らかにして頂きたいものです。多くの国民にとって「失敗の本質」を学ぶうえで、「他山の石」「反面教師」になる格好の事例になるはずですから。

「10月以降の消費の見通しは 『良くなる』 と答えた企業が47%。消費者に近い小売り・サービス業の39%に対し、メーカーは65%だった。『悪くなる』 は全体の6%にとどまり、年末に向けては回復を見込む企業が多い」(同日本経済新聞)

この新聞の凄いところは、「景気は夏以降上向く」というシナリオに狂いが生じて来始めているなか、「年末に向けては回復を見込む企業が多い」と、「景気は秋以降上向く」と主張し続けるところです。このしつこさは、20年前の証券会社の営業マンを髣髴させるものです。

また、「年末に向けては回復を見込む企業が多い」と、如何にも「今より景気が良くなる」かのような錯覚を与えるような書き方をするところも大きな特徴です。「良くなる」というのは、あくまで「下振れ」した7~9月との比較論であって、必ずしも「今より良くなる」ということを意味しているわけではありません。

「ユーロ圏の指導者たちは、このところ株式・債券市場が安定していたことに安住した面はないだろうか。危機意識を持って経済再生へ向けた改革を進めてほしい」(16日付日本経済新聞社説 「『日本化』が懸念されるユーロ圏」)

16日付の日本経済新聞は、ユーロ圏18カ国の4~6月期の実質経済成長率がゼロに留まったことに対してこのような主張をしていました。

日本4~6月期の実質GDPが前期比▲1.7%(前期比年率▲6.8%)になったことだけでなく、「このところ株式・債券市場が安定していたことに安住」していたのはユーロ圏の指導者たちよりも日本の政府・日銀であることも棚に上げて、このような主張を平気で行える日本を代表する経済紙こそ「危機意識をもって改革を進める」必要性があるように思えてなりません。

「消費増税の影響は軽微」「景気は夏以降回復」という根拠の乏しい「大本営発表」を何の検証も無しに提灯を付けて繰り返し報道して来た日本経済新聞。消費税率10%への引上げを判断する12月にも、国民生活への影響を顧みずに同じように「大本営発表」に提灯を付けた報道を繰り返すのか、それとも今回の反省を活かして気概のある主張をするのか、その報道姿勢が大いに注目されるところです。

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