日本経済最大のリスクは「社長」と「エコノミスト」によって消費増税が論じられることである

(2014年9月22日)
「日本経済新聞社が21日まとめた『社長100人アンケート』で、消費増税後の個人消費の回復時期が10~12月になるとの見方が45.8%と最も多かった。前回6月調査では、9月までに回復との回答が4分の3あったが、天候不順などによる夏場のもたつきで3カ月程度、後にずれ込むとの見方が増えた。ただ、国内景気全体は年度末には改善に向かうとの回答が約8割に達し、先行きには強気の見方を維持している」(22日付日本経済新聞 「消費回復 『10~12月』 45%」)

このようなアンケート結果を、「先行きには強気の見方を維持している」というように解釈するものなのでしょうか。

「前回6月調査では、9月までに回復との回答が4分の3」であった個人消費の回復時期が、「天候不順などによる夏場のもたつきで3カ月程度、後にずれ込むとの見方が増えた」というのは、「見通しを誤った」ということでしかありません。前回「見通しを誤った」経営者達が「先行きには強気の見方を維持している」という情報に何の価値があるのでしょうか。

「マーフィーの法則」の中では、「ラスベガスの法則」として次のような教訓が記されています。「そろそろ運が変わるだろうと思って、敗者の側に賭けてはいけない」と。

名目賃金が「17年半ぶりの高い伸びとなった」上に、「前年比7.28%増の80万653円だった。増加は2年連続で、1990年以来の高い伸び率」(時事通信)を記録した主要企業のボーナスが支給されても個人消費は9月までに回復しませんでした。「天候不順などによる夏場のもたつき」という特殊要因があったのは確かかもしれませんが、名目賃金とボーナスという収入面での追い風がピークを過ぎたなかで、天候不順が落ち着きを取り戻すだけで個人消費が回復するという見方は、楽観的過ぎるような気がします。

企業経営者は基本的にビジネスの拡大を目指しているわけですから、対外的に経済の停滞をメインシナリオとして示すことはあまりありません。これは、証券会社のセールスマンやエコノミスト達が、日本株が下落することをメインシナリオにしないことと同様です。

したがって、「社長100人アンケート」などは景気見通しを判断する上では、全く参考にならないもので、経済誌の一面を飾るにあたらない情報だと言えます。彼らの景気見通しなどより、「日経への広告出稿を増やすか」というアンケートを取り、それと実績の差をモニターした方がよっぽど景気実態を正しく測れるように思います。

「ESPフォーキャスト調査によると、消費増税のあった4月時点での4~6月期の実質経済成長率の予測平均は年率マイナス4.04%。結果は速報値が年率マイナス6.8%、改定値が年率マイナス7.1%だった」(22日付日本経済新聞「エコノミストの仕事が消える?」)

「社長100人アンケート」と同じ位当てにならないのが、今回の消費増税による日本経済への影響を大きく見誤ったことでも明らかになったエコノミストのコンセンサス予測です。

「英オックスフォード大の研究者が昨年まとめた『雇用の未来』という題の論文は、700あまりの職種がそれぞれコンピューターにとって代わる確率を試算した。経済を分析したり予測したりするエコノミストの仕事がコンピューターにとって代わる確率は何%? 正解は43%。高いとみるか、低いとみるかは人によって違うだろう。確率が低い職種から数えて282番目だった」(同日本経済新聞)

消費増税の実施においては、エコノミストなど有識者達の当てにならない経済見通しが、政府によって国民に対する説得材料として悪用されました。そもそもの問題は、経済見通しが当たる当らないという問題ではなく、多くのエコノミストが永田町や霞が関、日銀などに媚を売る人種、組織に成り下がってしまったことです。

「大きな変化がなければコンセンサス予測の的中率は高い。ただ、エコノミストはどうしても過去数年の傾向から大きく離れた予想は出せない『経路依存症』に陥りやすい。これが人間の限界」(同日本経済新聞)

この記事の中で某エコノミストは「大きな変化がなければコンセンサス予測の的中率は高い」と、「大きな変化」が的中率を下げる要因だと発言しています。しかし、「大きな変化がなければ素人の予想も外れない」わけですから、こうした発言は「自称専門家」であるエコノミストの存在意義を自ら否定するものでしかありません。悲しいことは、こうしたことに気付かずに「大きな変化がなければ・・・」と発言してしまう輩がエコノミストとして存在し得ていることです。

「マーフィーの法則」に記されている、「経済専門家にとっては、現実社会は特殊ケースである」という「ホーングレンの考察」を地て行くような話です。

当たっても特に社会のためになるわけでもなく、大きく誤った時には国民経済に大きな打撃を与えかねないエコノミストの仕事が「コンピューターにとって代わる確率」が43%というのは、いささか甘過ぎるような気もしますし、一日も早くとって代わって貰いたいと願うばかりです。

日本経済にとっての最大のリスクは「天候不順」などではなく、対外的に常に「景気は回復傾向にある」と表明しつつ法人税減税などの政府からの支援を要望する企業経営者や、「大きな変化」があったら予想を外すことを自覚しているエコノミスト達の意見を参考に、消費増税という「大きな変化」の検討がされていることだと言えそうです。

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR