2014/10/02
「玉虫」と「コウモリ」~食い違いをみせた「日銀短観」と「社長100人アンケート」
(2014年10月1日)「日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業の製造業でプラス13となり、前回6月調査より1ポイント改善した。自動車などが好調で、2四半期ぶりに小幅ながら前の期を上回った。非製造業は4月の消費増税の影響で悪化が続いており、全体としては回復に鈍さが残った」(1日付日経電子版「大企業景況感 小幅な改善」)
発表された9月の日銀短観は、玉虫色の結果でした。
景気は回復基調にあると主張したい政府やその取巻き達にとっては、悪化が見込まれていた大企業製造業のDIが6月調査比で1ポイント改善しましたから「予想よりは景気は堅調」だという主張を続ける根拠を得られたということで、一安心といったところだったのではないかと思います。
一方、景気腰折れの可能性を見ている人達の眼には、6月調査比で1ポイント改善したとはいえ、6月時点では9月には3ポイント改善のプラス15と見込んでいたわけですから、「景気は減速傾向」という見方を裏付ける内容でした。
今回の短観の特徴を一言で言えば、乖離が広がって来たことを示す内容だったというものです。大企業の業況判断DIは、「製造業」「非製造業」ともにプラス13で同じでしたが、「製造業」が前回6月調査比プラス1ポイントであったのに対して、「非製造業」はマイナス6と、同じプラス13でも方向感は大きく異なってることが明らかになりました。
「4~6月期の実質GDPは、前期比年率換算で7.1%減と大きな落ち込みだった。ただ、72.9%の経営者が3カ月後(年末)には国内景気が現状と比べて『改善している』『改善の兆しが出ている』と指摘。6カ月後(年度末)では80.4%が改善を見込んでいる」(9月22日付日本経済新聞 「社長100人アンケート」)
個人的に注目していたのは、先月22日に報道された「社長100人アンケート」のこうした「超強気」の結果との整合性でした。「社長100人アンケート」を日銀DI風に表すと、先行き(年末)のDIは27.7(=「改善している27.7%」-「悪化している0%」)、或いは58.9(=「改善している27.7%」+「改善の兆しが出ている46.2%」-「悪化の兆しが出ている1.4%」)という「超強気」の見立てとなっています。
これに対して今回発表された日銀短観の先行きDIは9月比変わらずの13と、「先行きも業況の回復は鈍い」(日本経済新聞)という結果になっています。
サンプル数も質問内容も異なりますから両者を単純に比較することは出来ませんが、全体としては「超強気な経営陣 vs 慎重な現場」という構図が鮮明になって来ており、経営陣と雇用者の間の乖離が拡大して来ていることを示唆するものとなっています。
大企業でも、短観のアンケートに答えている現場の人の方が一般消費者に近いでしょうから、経営陣と雇用者の間の乖離が広がって来ているということは、「超強気な経営陣」の見込みほど個人消費が回復して来ない大きな要因になっているのかもしれません。
同時に言えそうなことは「超強気な経営陣」が集まった団体や、「超強気な経営陣」を集めた会議で策定された政策提言は、一般消費者とかけ離れたものになりかねないということです。
そして奇異に感じることは、消費増税と円安による物価上昇というダブルパンチを喰らって雇用者の実質所得が減っていることを十分に認識しているにもかかわらず、個人消費を中心に「6カ月後(年度末)では80.4%が改善を見込んでいる」という企業経営者達が、法人実効税率の引き下げが必要だと主張していることです。ダブルパンチを喰らっても個人消費が景気の牽引役になれるのであれば、法人実効税率の引下げなどなくても日本経済は十分成長出来るような気がしてなりません。
「改善を見込んでいる」という回答がウソなのか、法人実効税率の引き下げがないと成長できないという主張がウソなのか。「超強気な経営者」の主張は、「玉虫色」というより「コウモリ」のように思えてなりません。

スポンサーサイト



コメント