喧嘩のやり方を知らない野党のマニフェスト~アベノミクス「シャンパンタワー政策」に対案を示せ!

(2014年11月25日)
「公約はアベノミクスに対抗する『経済政策3本柱』を打ち出した。(1)急激な円安や物価高など国民生活に配慮した『柔軟な金融政策』 (2)子育て支援や雇用の安定のための『人への投資』 (3)環境や中小企業に重点を置いた『未来につながる成長戦略』 ― を盛り込んだ」(25日付日本経済新聞 「民主、子育て・雇用重点」)

民主党は24日、「厚く、豊かな中間層の復活」を掲げたマニフェストを発表しました。「前回選挙の教訓を踏まえ、できることをしっかり絞り込んだ」ため、財源や実現時期などの数値目標の明示をしなかったとのことのようですが、「政権交代」の文字も消え、素直な印象は「政権を取れる可能性のない政党のマニフェスト」というところです。

「今、アベノミクスに対して失敗した、うまくいっていないという批判があります。しかし、ではどうすればよいのか。具体的なアイデアは残念ながら私は一度も聞いたことがありません。批判のための批判を繰り返し、立ちどまっている余裕は今の日本にはないのです。私たちが進めている経済政策が間違っているのか、正しいのか。本当にほかに選択肢があるのかどうか。この選挙戦の論戦を通じて明らかにしてまいります」(首相官邸「安倍内閣総理大臣記者会見」)

安倍総理は解散に際して、このように訴えました。総理に「具体的なアイデアは残念ながら私は一度も聞いたことがありません」「本当にほかに選択肢があるのか」と喧嘩を売られた野党第一党である民主党が「正々堂々と受けて立つ」と言うのであれば、「具体的なアイデア」「他の選択肢」を示して戦うのが喧嘩に勝つための絶対条件だと思います。

そうしたなかで「厚く、豊かな中間層の復活」などという、誰も反対しないが誰も熱烈に支持しない差し障りのないキャッチコピーを掲げて、どうやって喧嘩に勝つつもりなのでしょうか。有権者が欲しているのは「柔軟な金融政策」とか「人への投資」「未来につながる成長戦略」といった言葉のお遊びではなく、「アベノミクスに対する具体的対案」であることに気付かないのでしょうか。

「柔軟な金融政策」というのがアベノミクスに対抗する政策だというのであれば、現在の金融政策は「強硬な金融政策」ということになりますが、具体的にどこが「強硬な金融政策」で、それに対して具体的に何をどのように変更するのかが明記されていなければ対案として意味がないように思います。

「異次元の金融緩和」を中止するのか、「2%の物価安定目標」を破棄するのか。「柔軟な金融政策」の具体的な基準となるものを示さなければ、例え民主党の「アベノミクスでは持続的な成長が実現できないことが明らかだ」という主張が正しいものであったとしても、有権者に共感を与え、投票という行動に結び付けるのは難しいように思います。

第二次安倍政権が誕生した2年前、「行き過ぎた円高の是正」というのは優先順位の高い政策でした。しかし、1$=118円台まで円安が進んできた今日では、政策的優先順位は確実に落ちて来ています。そのことは、安倍政権が円安対策を打ちだすことを表明していることからも明らかです。要するに「行き過ぎた円高の是正」という役割を終えた「異次元の金融緩和」は変更されるのはある意味当然でもあります。

「異次元の金融緩和」が生み出した円安に関して、政府、日銀は「トータルで見てプラス」という見方を示しています。しかし、問題は「トータルでプラス」の中身です。現在の円安は、輸出企業、グローバル企業に対しては恩恵が及ぶ一方、国内企業や消費者にとってはコストの増加をもたらしています。つまり、アベノミクスの是非を問う上では、輸出企業、グローバル企業の収益へのプラスと、国内企業や消費者のコスト増というマイナスを足して「トータルでプラス」になっている状況を続けるべきか否かという点が議論の的になるはずで、「柔軟」か「強硬」か、という表現の違いなど議論の対象にはなりません。

個人的には、国民の財政負担のうえに実施されている「異次元の金融緩和」に伴う円安のデメリットを、新たな財政負担で埋め合わせて行こうという安倍政権の方針には強い疑問を抱いています。財政負担を掛けてあけた穴を、財政負担で埋めていく従来型の経済対策では、財政再建など期待すべくもないからです。

アベノミクスの経済政策は、「シャンパンタワー政策」になっています。積み上げられた一番上のシャンパングラス(輸出企業、グローバル企業)にシャンパン(異次元の金融緩和、円安、株高、法人税減税等)を注ぎ込み、そのお零れで下のグラス(中小企業や一般消費者)にシャンパンを注ごうとするものです。しかし、財政的な制約もあり注ぎ込めるシャンパンの量は限られていますし、一番大きなグラスが一番上におかれていたのでは、下のグラスにシャンパンが注がれていく保証はありません。
シャンパンタワー

安倍総理は輸出企業、グローバル企業に並々とシャンパンを注ぎ込む「シャンパンタワー政策」について「この道しかない」と断言し、「本当にほかに選択肢があるのかどうか」を選挙戦の論争で明らかにしていくと宣言しています。このように宣戦布告している政権に対して正々堂々と戦いを挑むのであれば、「シャンパンタワー政策」以外の選択肢があることを示さなければ意味はありません。

昨日、「他の道もあります!!」という個人的な政策提言書をまとめ、お付き合いのある複数の衆議院議員に提案をさせて頂きました。

拙提言は、「脱シャンパンタワー政策」実現のための3本柱として下記のような提案をしております。
1)財政負担のもとで実施されている「異次元の金融緩和の中止
2)現在の消費税の中での社会保障費財源確保
3)雇用増、所得増に直接働きかける法人減税

ご興味のある方は「近藤駿介 Official Site~政策提言」で公開、ダウンロードできるようになっておりますので、是非ご覧ください。

「具体的なアイデアは残念ながら私は一度も聞いたことがありません。・・・(中略)・・・ 私たちが進めている経済政策が間違っているのか、正しいのか。本当にほかに選択肢があるのかどうか。この選挙戦の論戦を通じて明らかにしてまいります」(首相官邸「安倍内閣総理大臣記者会見」)

このように宣戦布告して衆議院解散に打って出た安倍総理に対して、野党側が具体的対案を示すことなくアベノミクス批判を続けることは、具体的なアイデアを持ち合わせていないということを示すことと同じで、アベノミクスを評価しないと答えた51%(日本経済新聞世論調査)の有権者達の受け皿になることを放棄するようなものです。

700億円ともいわれる予算を投入して行われる今回の総選挙を「大義なき解散」で終わらせるのか、「大義ある解散」に出来るのか、その責任は野党側にもあるということを強く自覚して短い選挙戦を充実したものにして頂きたいものです。

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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