「政高党低」解消 ~選択肢を奪われた「アベノミクス以外の道」に期待する有権者

(2014年12月4日)
「日本経済新聞社は第47回衆院選について世論調査を実施し、公示直後の序盤情勢を探った。衆院定数475議席のうち、自民党は300議席をうかがう勢いだ。参院で否決された法案を衆院で再可決できる3分の2(317議席)を与党で維持する可能性がある。民主党は伸び悩み、維新の党は苦戦している」(4日付日本経済新聞 「自民、300議席うかがう」)

連立を組む公明党と合わせて「与党過半数」という謙虚な勝敗ラインを設定した安倍総理率いる自民党が300議席を獲得し、「正々堂々と受けて立つ」はずだった野党を蹴散らす勢いであることが4日付の日本経済新聞で報じられています。

「日本経済新聞社の2~3日の世論調査で、安倍内閣の支持率は前回の11月の定例調査より2ポイント低い42%となり、第2次安倍内閣での最低を更新した。不支持率は39%で横ばい。政党支持率は自民党が43%(8ポイント上昇)、民主党が13%(6ポイント上昇)、維新の党は7%(4ポイント上昇)。「支持政党なし」は13%で前回の45%から大幅に低下した」(同 日本経済新聞)

単独で300議席を獲得しそうな自民党ですが、安倍政権の支持率は11月の定例調査より2%低い42%となり第2次安倍内閣での最低を更新したことも報じられています。安部内閣の支持率が低下する中で自民党の支持率自体は8%上昇して43%となっており、これまでの「政高党低(政権支持率が政党支持率をより高い状態)」が解消された形となりました。

アベノミクスの継続が主要な争点となる選挙で「政高党低」が「政低党高」に変ったことを額面通り受け取れば、「自民党には期待しているが、アベノミクスは見直してほしい」という「別の道」を期待している有権者が増えていることを示しているのかもしれません。

それでも自民党が「300議席をうかがう勢い」であるというのは、野党が「反アベノミクス」の受け皿になっておらず、「反アベノミクス」の受け皿が自民党(の安部総理以外の総理)になっているということです。野党がアベノミクスに対して有効な具体的対案を出せないでいることで、有権者は野党の台頭よりも55年体制時代の自民党の派閥抗争に期待せざるを得ない状況に追い込まれたのかもしれません。

しかし、「政低党高」現象によって自民党が300議席を獲得すれば、結果的にアベノミクスは国民の信を得たことになり継続されることになるでしょうから、有権者が望む「安倍政権以外の自民党政権」を実現するためには、自民党内で安倍総理の責任問題が浮上するような「微妙な勝利」に追い込む必要があります。しかし、そのためには本来期待していない野党に投票する必要がありますが、そうした意思に背く投票行動は有権者としては避けたいところです。

また、意思に背く投票行動を避けるために棄権すると自民党を大勝させることになりますし、自民党内での責任問題勃発に期待して自民党に投票すると「300議席をうかがう勢い」を加速させてしまうことになりません。つまり、「自民党に期待しているが、アベノミクスは見直してほしい」という「別の道」を考える有権者にとって、今回の選挙ほど苦しい選挙はないといえます。

今回「0増5減」という区割りの微調整によっても、13選挙区で一票の格差が2倍超という違憲状態のままになっています(筆者の選挙区もこの13選挙区に含まれています)。自民党に「アベノミクス以外の道」を期待している有権者の最後の期待は、一票の格差を理由に司法の手によって今回の選挙が無効にされることかもしれません。

衆院選挙の大きな制度上の問題点は、一票の格差と、死票が多くなり結果的に得票率と獲得議席数に大きな乖離が生じることです。前回の2012年選挙でも小選挙区での得票率が43%であった自民党が、小選挙区定数300の約80%に相当する237議席を獲得しました。

4日付の日本経済新聞の報道に基づけば、支持率43%の自民党が比例代表を合せた総定数475議席の63%に相当する300議席を獲得することになり、依然として得票率と獲得議席数の大きな乖離が生じることになります。こうした乖離が存在し続ける限り「国会議員定数削減」など期待することも出来ません。

個人的には、期待すべくもない定数削減に先んじて、選挙区割りを変更しないですむ一票の格差の是正と死票を減らす制度改革をするべきではないかと思います(定数削減と同程度の障害はありますが)。具体的には候補者の得票数に一票の格差分を乗じた格差調整後得票数を計算し、その多い順に当選者を決めて行くということです。

例えば、有権者数が最も少ない選挙区に一票の格差がありませんから、この選挙区での獲得投票数が100だとしたら、格差調整後投票数は100×1.0=100となります。これに対して一票の格差が1.5倍の選挙区での獲得数100の格差調整後投票数は100×1.5=150、同じく2倍の選挙区では100×2.0=200となります。こうした格差調整を295選挙区全てで実施し、選挙区に拘らず格差調整後得票数の多い順に295名を当選者に決めて行くという方法です。

このような方式では、候補者は現在の小選挙区の選挙区を変更する必要はありません。単純に有権者の少ない選挙区では絶対数として高い得票を得なければならなくなるということです。また、全国区のような人気投票選挙になることもありません。さらに、一票の格差は解消され、有権者数の多い選挙区を中心に生じる死票を少なくすることにもなります。各選挙区の有権者数は総務省が把握しているわけですから、国勢調査など待たずに一票の格差を修正することは可能です。

投票が締め切られた瞬間から「当選確実」が流れ続けるような結果が分かっているような緊張感のない選挙を繰り返していては、投票率が上がることなど期待できません。

アベノミクスを主要な争点とした選挙で、具体的な対案を示すことのできていない野党には、一票の格差というハンディを負い、アベノミクスの継続にNoという意思表示をするだけのために、始めから当選する可能性が少ないうえに意中の人でもない候補者に投票するか、棄権することで黙認することを迫られる有権者を救済するような「大胆な選挙制度」を是非提案して頂きたいものです。「アベノミクス以外の道」を選択するのに、司法の違憲判決に期待するしかないのでは余りにも悲し過ぎます。
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