意味のない与野党「数字合戦」~「数字合戦」に留まる限り「アベノミクス黙認派」は増加する

(2014年12月10日)
「後半戦に突入した衆院選で与野党が『数字』を掲げて主張を展開する場面が増えてきた。与党は安倍政権の経済政策『アベノミクス』の実績として雇用や賃金、訪日観光客の増加をデータで訴える。野党は景気の伸び悩みを示す統計数値を持ち出して対抗している」(9日付日本経済新聞 「与野党 『数字』 で論戦」)

自民党が「300議席を伺う勢い」のなかで、野党は「景気の伸び悩みを占める統計値」を持ち出し「数値合戦」の様相を呈して来ていることが報じられています。

確かに、安倍政権がアベノミクスの成果として持ち出す数字は、雇用に関するものを中心に都合の良い数字、意味のなさない数字が多いことは事実です。実際にアベノミクスの成果といえるものは、行き過ぎた円高に歯止めをかけたことで企業収益が増えて株価が上昇したことと、外国人観光客が大幅に増えたこと位だと言っても過言ではありません。

ですから、野党が具体的な「数字」を示して 「相変わらず景気は低迷している」「アベノミクスは全く機能していない」と批判するのは当然のことです。

しかし、野党が「数字」を示して「アベノミクスが失敗だ」と批判し、有権者がその指摘に納得したとしても、それが投票行動に結び付かなければ、それは「単なる批判」で終わってしまい意味のないものになってしまいます。有権者の投票行動に結び付けるためには、自民党とは異なる具体的な政策を示すことが必要不可欠です。

野党が「全く機能していない」と批判する「アベノミクスの成果」は、「異次元の金融緩和」などの具体的な政策が実行された「結果」として現れて来ているものです。つまり、アベノミクスの「結果」が間違いだと批判するのであれば、その「結果」を招いた具体的政策の何がどのように間違えていて、自分達はそこをどのように修正して行くのかを有権者に示さなければ意味がないということです。

結果が出なかったことを批判することを目的とした「数字合戦」を繰り返す次元で論戦を張れば張る程、具体的な政策を示すことのできない批判勢力に過ぎないという印象を有権者に与えてしまう格好になっています。

そして、「正々堂々と受けて立つ」と豪語していた野党の有権者に訴える台詞が、「自民党が300議席を超えてもいいのか」という政策からかけ離れたものになってしまうというのは情けない限りですし、同時に「大義なき解散」などという意味のない批判に無駄な時間を費やした野党の戦略的失敗の「結果」でもあります。

野党が主張するべきことは、「アベノミクスは失敗だ」と叫ぶことだけではなく、失敗の原因を示し、それを修正するための対案を提示することです。

例えば、「円安倒産が3倍近くに増えた」と、行き過ぎた円安に歯止めをかける必要があると主張するのであれば、筆者が「政策提言」で示しているような、2013年1月に政府と日銀が「2%の物価安定目標」の達成で合意した「共同声明」を破棄し、金融緩和を中止すると具体的な政策を示すべきだということです。「柔軟な金融政策」などといった、修飾語を「異次元」から「柔軟な」に変えるだけという言葉のお遊びで対抗できると考えているところに、政権担当能力の低さが露呈してしまっているように思えてなりません。

「自民、公明両党の与党で、定数475の三分の二(317議席)以上を維持する情勢。約四割が投票先を決めておらず、今後の選挙戦次第で情勢が変わる可能性がある」(10日付東京新聞/TOKYO Web)

マスコミの情勢調査の結果では、自民党が300議席を確保する勢いを見せていることと共に、「約4割が投票先を決めていない」と、まだ投票先を決めていない有権者が多数存在していることが報じられています。

野党の望みは、この「約4割の投票先を決めていない有権者」の投票行動によっては、選挙結果が変わるということかもしれません。しかし、選挙に対する関心があまり高くないことも報じられていますから、「投票先を決めていない約4割の有権者」の多くが棄権者、つまり実質的な「アベノミクス黙認者」に回る可能性は否定出来ません。投票率が60%前後になると思われている中では、「約4割が投票先を決めていない」ということよりも、「約6割が投票先を決めている」ことの方が野党にとっては重要なことのはずです。

野党がこのまま「アベノミクス批判」を繰り返し、アベノミクスが成果を出せていない原因と、それを修正するための具体的政策を示さない限り、「約4割の投票先を決めていない有権者」が「アベノミクス黙認者」になりかねないことを野党は肝に銘じて、残り3日間になった選挙戦を有意義なものにして頂きたいものです。中身の乏しいスローガンで、これまで何回も選挙で痛い目に合って来た多くの有権者の投票行動を変えることは出来ないことにいい加減気付かなければなりません。

「衆院選の望ましい結果については『与野党の勢力が伯仲する形』が47.9%と半数近くを占め、『与党が野党を上回る形』は35.4%となった。」(8日付産経ニュース)

こうした有権者の期待が実現するか否かは、野党が具体的政策を提示して「約4割の投票先を決めていない有権者」に投票行動を起こせるかにかかっている。野党の責任は重い。



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