情けない野党が生んだ「選挙難民」が自民圧勝の原動力~対案なきアベノミクス批判で自らの存在を貶めた野党

(2014年12月12日)
「自民党は序盤の勢いを維持し、全475議席のうち、単独で300議席超をうかがう。公明党とあわせた与党では、参院で否決された法案を衆院で再可決できる3分の2(317議席)を確保しそうだ」(12日付日本経済新聞「自民300議席の勢い保つ」)

日本経済新聞が行った2度目の調査で、「野党が政権批判票をすくいきれていない」(同「野党、巻き返しに苦戦」)ことで、自民党が解散前の295議席からさらに上積みして圧勝する勢いであることが報じられています。麻生副総理の軽率な発言などは全く響いていないようです。

「今回の調査では内閣支持率は42%で前回と同じだった。半面、不支持率が3ポイント上がって支持率と並び、政党支持率でも自民が5ポイント下落し38%だった。民主党は15%、維新は9%に留まった」(同日本経済新聞)

内閣不支持率が上昇して支持率と同じとなったうえ、自民党の政党支持率が38%と5%も低下する中で、自民党が300議席を超える圧勝するということになれば、日本の選挙制度は民意を反映しない選挙だということを天下に知らしめることにもなります。もし、香港のように民主的な選挙を求める若者達が多ければ、暴動が起こっていてもおかしくない状況。

内閣不支持率が上昇し、自民党の政党支持率が下落するなかでも「野党が政権批判票をすくいきれていない」というのは、選挙制度の問題だけでなく、野党の責任でもあります。圧倒的多数を占めていた与党が、解散・総選挙に打って出てくれ、政権奪回のチャンスを与えてくれたのにも拘らず、「大義名分のない選挙」と不毛な批判を繰り返し、貴重な時間を浪費してしまったからです。

情けないのは、影の内閣(シャドウ・キャビネット)を持ちながらも、何の具体的政策も示せなかったところ。シャドウ・キャビネットが機能していたとしたら、与党が「大義名分のない選挙」に打って出た瞬間に具体的な対案を有権者に示せたはずです。ということは、自公与党が圧倒的多数を占めている間に気を緩めていたのは野党だという誹りを受け、有権者から政権担当する責任感に欠けていると判断されても仕方がないことかもしれません。

今回の選挙に大義があるか否かは別として、安倍総理は「アベノミクス選挙」だと宣言して衆議院を解散しました。これに対して野党が「正々堂々と受けて立つ」のであれば、まずは安倍総理自身のアベノミクスに対する評価が間違えであることを明らかにすると同時に、評価の違いを生んだ原因と問題点を示した上で、アベノミクスに代わる具体的経済政策を提示するべきだったと思います。

しかし、ほとんどの野党は「アベノミクスは失敗である」という類の抽象的批判に終始し、論点を集団的自衛権や原発問題、身を切る改革、愛国心などを取り上げて争点をアベノミクス以外に広げようという選挙戦略で戦って来ました。有権者の関心が経済問題にあり、安倍総理が「アベノミクス選挙」と宣言する中で「正々堂々と受けて立つ」のであれば、まずは真正面からアベノミクスに対して論戦を張り、具体的対案を示すべきだったと思います。

2009年から3年強続いた民主党政権が有権者の期待を大きく裏切った記憶が強く残っている中での総選挙ですから、アベノミクスに対する論戦を避けて対案を示さず、争点をアベノミクス以外に持って行こうという姿勢を見せたことは、改めて多くの有権者に「政権担当能力なし」という印象を植え付けてしまう結果になったように思います。

野党の不甲斐ない選挙戦は、無党派層を中心とした「安倍政権は支持しないが投票先がない」という「選挙難民」を多く生み出し、「選挙難民」は投票を棄権するという形で「安倍政権黙認派」になるか、「政策担当能力なし」と判断した野党に投票するという「意に反した投票」をするのかという究極の選択を迫られています。無党派層を当てにする野党が、無党派層の支持を得られないようでは戦になりません。

今回の教訓は、相手をいくら批判し貶めたとしても、批判する側の立場は上昇するどころか、相手を批判することでかえって自らの立場を相手よりも貶めかねないということです。これは、我々の一般生活でも、あるいは国際社会でも見られる現象のように思います。

自民党が300議席を獲得し、アベノミクスが信任を得た暁には、多くの有権者は今回の野党の戦略を他山の石として、4年間、増税や円安、格差の拡大に耐え忍ぶしか選択肢はなさそうです。その間に有権者の信頼に値する野党が育つことを祈りながら。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

メルマガのお知らせ

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR