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中国春節期間中の売上高統計にみる投資理論の限界

「商務省が同日発表した期間中の国内の小売・飲食業による売上高は1兆50億元(約16兆2000億円)と2018年より8.5%増えた」(10日付日経電子版「中国、春節消費に減速感 売上高の伸び初の10%割れ」

この事実に対して、日経電子版は

「現行の統計を始めた05年以降で伸び率が2桁を割るのは初めてとなる。中国経済の減速ぶりが年間で最大級の商戦期である春節の消費にも表れた」(日経電子版)

とややネガティブに報じているのに対して、Bloombergは

「何億人もの国民が親類に会うため国内を移動する中、春節の支出データは中国消費の底堅さを示唆した」(11日付Bloomberg「中国の春節小売り・飲食業の売上高、8.5%増-観光も伸びる」

とややポジティブに報じている。

同じ情報でも受け手によって捉え方は異なってくるという現実を突き付けたような報道。

どちらの見方が正しいかはにわかには判断できないが、確かなことは証券アナリストの分野で重要な理論とされている「資本資産評価モデル(CAPM)」が成立するうえでの仮定「同質的期待の過程:投資家は証券の収益率に関して同一の予想を持つ」が、現実の社会では成立しないということだ。つまり、「CAPM」は理論の世界での空想だということ。

20年前にファンドマネージャーとして証券アナリストの勉強をした頃から「CAPM」を始めとした投資理論に対しては違和感を覚えていた。

それは、仮に「投資家は証券の収益率に対して同一の予想を持つ」のであれば、ファンドマネージャーやアナリストという職業に何の付加価値が存在するのか、アナリスト資格で求められる知識はファンドマネージャーやアナリストの自己否定だという疑問である。

重要なことは、「CAPM」を始めとした様々な投資理論を金科玉条のように扱ってはいけないということだ。現実は理論通りには動かないからだ。

だからと言って理論を無視、軽視して良いというわけではないところが投資の難しいところ。理論を知らなければ、投資家は自身がどこでどのようなリスクを取っているかを知ることは出来ないので、投資=ギャンブル になってしまうからだ。

一般投資家にとって投資リスクの一つは、アナリスト資格を持っているファンドマネージャーやアナリストを「CAPM」を始めとした小難しい投資理論を知っているという理由だけで「投資の専門家」と思い込むことだ。

公的年金運用損失過去最大14.8兆円 ~「結果責任」より前に必要なもの

「公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、2018年10~12月期の運用損失が14兆8039億円だったと発表した。市場運用を始めた01年度以降、四半期ベースでは過去最大となった」(1日付日経電子版 「公的年金、運用損14.8兆円 18年10~12月、世界的株安響く」

公的年金の「利益」と「損失」の定義が曖昧な中で「2018年10~12月期の運用損失が14兆8039億円だった」と騒いだところであまり意味がない。

問題なのは、この記事の中でも

「GPIFは14年の運用改革で国内外株式の構成割合をそれまでの2倍の50%に増やした。資産の3分の2は日本株や外貨建ての資産で運用されており、株式や為替相場の変動に運用成績がより左右されやすくなっている」

「GPIFは相場変動に左右されにくい運用に力を入れている」

と、全く正反対、矛盾するような記述があることだ。

「相場変動に左右されにくい運用に力をいれている」投資主体が「国内外株式の構成割合をそれまでの2倍の50%に増やす」ことなどあり得ない。

自分のお金を自分で運用するときには、いくらこうした論理的矛盾があっても問題はない。結果責任を負うのはその人自身だからだ。しかし、人様のお金を運用する場合には、結果責任より前に、投資方針や投資行動が論理的一貫性を持つことが最低限必要なのだ。

公的年金の運用に「結果」が求められるのは当然のことだが、過去最大の損失を出したことよりも運用プロセスにこうした論理的矛盾といえるようなことが幾つも存在していることが現在のGPIFの運用の問題なのだ。

「結果論」の議論は所詮「イデオロギー論争」しか生み出さない。重要なのはイデオロギーに関係なく論理的矛盾のない筋の通った運用をすることだ。公的年金の運用の議論がその方向に向かうことを期待し続けているが、現時点では望み薄というのが現実だ。

「知識ゼロからの名画入門」 連続講座に参加

土曜日の午前中は早稲田大学エクステンションセンターで講座をやることが多いが、今日は講座がない日で、原稿も昨日中に提出し終えたので、「なんでも鑑定団」の鑑定士としてお馴染みの永井龍之介氏が銀座の永井画廊で開催された「知識ゼロからの名画入門」という講座に参加。

今回は、毎回五人の画家を取り上げて、それにまつわるいろいろなお話しを通して知識を身に付けていこうという連続講座の第1回目で、取り上げられた画家は「ファン・アイク」「アルブレヒド・デューラー」「ヨハネス・フェルメール」「ヒエロニムス・ボス(ボッシュ)」「ベーテル・ブリューゲル」の5人。今週見に行ったばかりのフェルメールが取り上げられていたのも、参加したくなった理由の一つ。

講座の特徴は研究者ではなく、永井さんらしく「画商」の立場から作品にアプローチする点。分野は全く異なるが小生の講座と共通点がある。昨年からアンティークコインを扱う会社の資金調達のお手伝いをしており、西洋史の教養の必要性を感じていたので絶好の機会だった。

今回は永井社長と昨年夏に軽井沢の千住博美術館のギャラリーで偶然お会いしたご縁でメールでご案内を頂いた。全ての講座に参加することは日程的に無理だが、講座のないときを見計らってまた参加 してみたい。特に7回目と8回目は。

洋画にご興味のある方は ”「知識ゼロからの名画入門」 連続講座” の日程等をチェックしてみて下さい。教科書的に使われる書籍は永井さんのサイン入りです。

嵐の経済効果?

「嵐が2020年末に活動休止するまでの2年間の経済効果が約3259億円」

こうした「経済効果」なるものが実しやかに流される度に、事後的にも検証しようのない数字を推計することに何か意味があるのだろうかと考えてしまう。

確かにファンはコンサート会場に押し寄せるだろうし、グッズ代や宿泊費、移動費などにも出費を惜しまないだろう。

しかし、ファンはこうした出費を賄うために他の出費を抑えるだろうし、嵐のコンサートに行かなくても飲食費は使っているはずなので、これだけの経済効果が本当にあるかは疑問。

忘れてならないことは、嵐の活動休止が嵐ファンの収入を増やすことはないということだ。

嵐の活動休止によって嵐ファンの収入が増えるのであればこうした試算の確度は上がるかもしれない。しかし、そうした効果ないのであれば、収入が増えない人達が一時的に出費を増やすことを「経済効果」とはやし立てるのはいい加減止めた方が良い。嵐が活動休止した後、ファンの嵐向け支出は減ることは確実で、所詮消費増税前の駆け込み需要と変わらないのだから。

FRBバランスシート縮小に怯えるウォール街

「ウォール街は米連邦準備制度のバランスシート縮小にますます注目している。縮小プログラムが始まってから1年以上がたった今、なぜ突然これが市場を揺るがせているのかが議論の的だ」(29日付 Bloomberg「ウォール街、FRBのバランスシート縮小にますます注目」

おそらく、超過準備預金とほぼパラレルに動いている限り、FRBのバランスシートの規模は金融的にはほとんど意味がない。

それにも関わらず多くの投資家がFRBのバランスシート縮小に恐怖心を抱くのは、金融的にほとんど説明がつかない中で、FRBがバランスシートを膨らませる局面で株式や不動産価格が上昇したからだ。

FRBがバランスシートを拡大させる局面で、金融的な論理では説明が出来ない株式や不動産価格の上昇が起きたということは、バランスシート縮小局面でも論理的な説明がつかない形で資産価格の下落が起きる可能性があるということだ。

中央銀行も投資家も、政策金利の変動はこれまで何回も経験してきている。しかし、中央銀行がバランスシートをここまで拡大させたのは初めてのことで、全員にとって未知の世界。

FRBのバランスシート縮小に多くの人が警戒心を抱くのは、どこにどの程度の影響が及ぶか、想像がつかないからだ。人が強い恐怖感を覚えるのは、敵の姿が分からないときだから。

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

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著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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