2021/03/19
SNSで発信すれば若者の行動変容を促せるという思い上がり
「例えばSNSだとか、そうした若者のよく捉えられる、見られる部分に対しての広報が全く欠けていたのではないかなというふうに思っています。また、私自身も、そうした若者の方に対しての発信が足りなかったのだろうというふうに思っています。そうしたことをしっかりと発信していきたい、こういうふうに思っています」(18日付首相官邸HP 「新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見」)昨日の1都3県に対する金融事態宣言解除決定記者会見でこのように発言していた菅総理。
それに合わせるようなタイミングで持ち上がってきたのがLINEの個人情報管理不備問題。
「武田良太総務相は19日の閣議後の記者会見で、総務省が対話アプリ「LINE」を通じて提供している行政サービスの運用を停止する考えを示した」(19日付日経電子版 「LINEでの行政サービスを停止 総務省」)
SNSを利用して感染対策をめぐる若者への呼び掛け強化すると宣言した総理は、8000万人が利用している LINE 抜きで呼び掛け強化を図らなければならなくなった。悲しいことだが菅総理は「持っていない」。
そもそも「SNSだとか、そうした若者のよく捉えられる、見られる部分に対しての広報が全く欠けていた」ことが、国の呼び掛けが若者たちに届かない理由だと思っているとしたら、それこそがSNSリテラシーの低さを象徴するものだ。
SNS乱立時代に重要なのはコンテンツ。(1)飲食を通じた感染防止(2)変異株への対応(3)感染拡大の予兆をつかむための戦略的検査の実施(4)安全迅速なワクチン接種(5)感染拡大に備えた医療体制の強化、といった聞き飽きた「感染再拡大防止の5本の柱」をSNSで発信しただけで若者たちに行動変容を促せると思っているとしたら大きな間違いだ。
根本的な問題は若者たちの多くが政府をリスペクトしてないことだ。国会のやり取りを見ていればそれも仕方のないこと。国会の様子はSNSを通して若者たちに伝わっていることを忘れてはならない。レベルの低い政治の現状は若者たちに届かず、行動変容を促す政府のお願いだけは若者たちに伝わるとことを夢みているとしたら勘違も甚だしい。
政府が肝に銘じなければならないことは、若者に限らず人間はリスペクト出来ない人からの説得で行動変容を起こすことはないということだ。
SNSで若者向けへの発信を考えるより先に、テレビ中継やニュースで伝えられている国会の姿、政治の在り様を反省することから始めた方がよさそうだ。若者の行動変容を促すためにも…。